「部長~、昨日に限ってだけっ!記憶あるんですか?(笑)」

「部長~、昨日に限ってだけっ!記憶あるんですか?(笑)」

新入社員だった頃飲み会でセクハラを受けて衝撃だった。

テレビの中だけじゃなくて現実の社会で?それなりの地位の人なのに?子供もいるのに?こんなことが許されるの?マジで?って思った。

配属されたところがやたらと飲み会の多い部署で、2次会は必ず部長お気に入りのスナックだった。

この部長が自称飲むと記憶を無くす人で「え?セクハラ?酔ってて覚えてないなー、あっはは」と毎回これで誤魔化していた。

でも毎回スナックのチーママ?っぽい人と女の先輩がさりげなく引き離してくれた。

あー今日のはサイアク!って日にやっぱり先輩が来てくれた。

「ぶ~~ちょう♪」

「おお、先輩君!」

先輩は綺麗な人だったので部長大喜び、先輩に触ろうとしたが振り払う先輩、そして満面の笑みで言った。

「も~う♪そういう事するから女子社員から嫌われるん・で・す・よ♪」

「想像してみてください、部長がもしも若い女性だったら、ハゲててデブで気持ち悪い中年のおじさんに触られて気分良いと思いますか?」

「大体この状態をおうちにいる娘さんに見せる事、できますか?」

硬直する部長を置いて(この間も満面の笑み)先輩は私の腕をつかんで別の席に移動した。

その際チーママにアイコンタクト送ってチーママが部長の元に移動。

「部長さぁん♪触るなら わ・た・し・で・しょ♪」と部長の腕にすがった。

「おおう、そうか」とあっさり笑顔に戻った単純な部長(笑)

「…先輩、酔ってますか?」

「ん?今日車だから飲んでないよ。飲んでないから言えちゃうのかもね、酔ってる時は逆にセーブしちゃう」

しばらくしてチーママが来た。

「困ったら目配せしてね、私達ってこんな時の為にいるのよ。あんなハゲを楽しかった、来てよかったって気分にさせて帰すのが仕事なの(笑)その為にお給料貰ってるんだから頼ってね。職場の飲み会って仕事の相談の時もあるから割って入るタイミングが難しいのよねぇ」

先輩は部長のツケでフルーツ盛り合わせ3個を勝手に注文した。(解説するとフルーツ分の料金がチーママのポイントになるらしい)素晴らしい連携プレーだった、これが大人のギブアンドテイクかと思った。

器だけがゴージャスだったけど、フルーツはちょっぴり。

これで一つ5千円以上するんだよと先輩が教えてくれた。

翌日先輩は会社に着くなり真っ先に部長の元に行った。

「部長~、昨日に限ってだけっ!記憶あるんですか?(笑)」

「記憶ないんだ~」と引きつった笑みで部長が答えた。

「そうですか~、フルーツご馳走様でした(笑)」

先輩は「こんな会社辞めてやる!」って状態だったので英断したらしい。

なんだかんだで辞めるのを止めた。

後にその度胸を買われたのか出世までした。

スナックの女性をちょっぴり尊敬するようになった。

プロってかっこいいね。

先輩の話だけど胸がすーっとしたのでこちらに書いてみた。

部長のセクハラはこれ以降沈静化しました。

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