ベッドで横になっている俺を見て、パジャマ姿のめぐみんが呟くように問いかけてきた。
「見ての通りだが?」
「見ても分からないから聞いているんですが」
おいおい、紅魔族は知能が高いんじゃないのか?一目で俺の意図を理解してくれると思ったんだが。
「…とりあえずひとつずつ確認していきましょうか」
俺の「やれやれ」といった態度を見て、めぐみんがこめかみに手を当てながら言う。
「まず第一に、ここは私の部屋なんですが」
「当たり前だろ」
いくら住んでいる人数と合っていない広さの我が屋敷とはいえ、部屋を間違えるほどボケてない。あのアクアでさえたまにしか迷子にならないんだぞ?
「…では次ですが、今はすでに夜更けですね?」
「どう見てもそうだろ」
めぐみんはパジャマに着替えているし、窓の外はすっかり夜の帳が下りている。部屋を照らすのはランプの儚い光のみだ。
するとどういう訳かめぐみんは頭を抱えだした。せっかく俺が質問に答えてやってるというのに。
「…では最後に」
「おう」
「なんで私の部屋のベッドで深夜に半裸で横たわっているんですか!!」
2: 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/12/04(水) 20:26:36 ID:De8eYpJ6
めぐみんが叫ぶように言う。その際に飛んだ唾が俺の剥き出しの胸板へと降りかかった。
それを指でピッと払うと、俺は至極冷静に答えてやる。
「誕生日プレゼントですが、何か?」
「何か?じゃありませんよ!何をいきなりトチ狂っているんですか!!」
瞳を真紅に輝かせながらまたも叫ぶめぐみん。
「落ち着けよ。夜中に叫ぶなんて近所迷惑だろ?また妙な通称が増えちまうぞ」
「カズマのせいで叫んでいるんでしょうが!」
そう言いながらも若干声のボリュームを落とす辺り、爆裂癖とネーミングセンスを除けばギリまともなめぐみんらしい。バカと変態にも見習ってほしいもんだ。
「いやほら、王道だろ?『プレゼントは私』って」
「普通男女が逆でしょう!?」
「俺は真の男女平等主義者だからな」
「カズマのそのポリシーは本当にロクでもないですね!」
失敬な。
俺がいかに崇高な信念を持っているか解説してやろうとすると、めぐみんはため息をつきながらベッドサイドへと腰掛けた。
「もういいです…何だかドッと疲れてきましたし」
魔力切れの時と同じぐらいゲンナリとした表情を浮かべる爆裂娘…ふむ、からかうのはこのぐらいにしておいてやるか。
3: 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/12/04(水) 20:27:52 ID:De8eYpJ6
まぁあれだ、ちょっと奮発して小洒落たアクセサリーなんて買ってみたものの、いざ渡すとなったら急に照れ臭くなってしまって現在に至っているわけだ。
童貞なので許してほしい。
しかし良い感じに場が弛緩してきた今なら行ける気がする!とりあえず軽くもうワンクッション置いて…。
「いやいや、考えてもみろって。どうせその気になっても何かしら妨害が入るなりお前が土壇場でヘタレるなりするんだ。そうそう一線は越えられないって」
「…!」
よし、ここだ!俺はアクセサリーの入った包みを取り出そうとして──
「おい」
「えっ?」
「私がどうせ土壇場でヘタレるという謝った認識について、今すぐ是正してもらおうじゃないか」
──その直前で、めぐみんに組み伏せられた。
「ちょっ!?お前、何して…!」
「決まってるでしょう!プレゼントをありがたく頂くんですよ!」
ハァハァと息を荒げながら俺の両手を押さえてくる。こんな細腕すら振りほどけない自分の低ステータスが恨めしい。
「やめろ、落ち着けって!」
「これが落ち着けますか!自分がプレゼントだって言ったのはカズマでしょう!」
「いや、だからそれは…」
ヤバイ、目が猛烈に輝いている。完全にアレなスイッチが入っちまってる。
「最近中途半端にモテているあなたに誰が一番か思い知らせてあげましょう!さぁさぁ朝まで子作りですよ!!」
「や、やめて!せめて優しく…!!」
次の日。
妙に肌をツヤツヤさせながら、真新しいアクセサリーを身につけご機嫌なめぐみんと、すべてを絞り取られた俺の姿があった。
あと、それからすぐに紅魔の里からめぐみんの家族がやって来たことも付け加えておく。
…どうしてこうなった。
END
5: 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/12/04(水) 20:32:47 ID:/gvKxSdQ
これはカズマが悪い
6: 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/12/04(水) 20:34:36 ID:EUk7K2L6
優しい世界
7: 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/12/04(水) 20:38:11 ID:MLA2ivmE
誕生日おめでとうございます。これからもカズマさんと末永くイチャイチャしてください
8: 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/12/04(水) 21:16:06 ID:P4sFHjdI
オメシャス!
9: 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/12/04(水) 21:18:40 ID:cFjyWb0U
本命プレゼントを渡すのが恥ずかしくて茶化すのは実にカズマっぽい 珍しくめぐみん勝利っすね…
11: 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/12/04(水) 21:43:47 ID:4k0vw2Gk
原作でももはやこのぐらいはやっているという事実
NaNじぇいには暁なつめもいるのか
【50%OFF】この素晴らしい世界に悦楽をめぐみん陥落っx
何故めぐみんはカズマさんに惚れたか
1: 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/05/19(日) 23:39:00 ID:KseefMk.
を考えてたんですが
・まず爆裂魔法しか使えない自分をパーティーに入れてくれた時点で好印象
・パンツを盗まれたりしたけど爆裂魔法を有効活用して活躍させてくれる
・爆裂散歩にも何だかんだ同行してくれて帰り道は動けない自分をおんぶしてくれる
・爆裂道を諦めるため上級魔法を覚えさせてくれないかと冒険者カードを渡したら、逆に貯めていたポイントを全部爆裂魔法関係に注ぎ込んで爆裂道を肯定してくれた←ここでほぼ完堕ち
・ダクネスの問題について喧嘩もしたけど最終的に20億エリス掛けて解決
・恩人と思われる魔王軍幹部討伐にしょうがねえなあと同行してくれて、無事決着をつけさせてくれた←メーター振り切れ&甘やかしモード突入
とまとまりました
2: 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/05/20(月) 00:02:33 ID:cTAmgBCk
ちゃんと考察されてて草
4: 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/05/20(月) 03:56:27 ID:B.w8NHsE
9割爆裂魔法ですね
6: 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/05/20(月) 06:32:25 ID:/219ofe2
初めは変な人だと思っていて、いつの間にか惚れていたとめぐみん自身もクリスに語ってましたね
こんなことされたらこれは惚れる
7: 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/05/20(月) 07:03:35 ID:1UKDYuR.
めぐみんとアイリスとクリス(エリス様)のヒロイン3人群雄割拠ですね
8: 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/05/20(月) 08:16:01 ID:5LMW5Xyg
ここちょっと消えてますね
アクアという女神とララティーナという貴族令嬢がいたんですが
意外とちゃんと段階踏んでますね
これはメインヒロイン
10: 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/05/20(月) 09:47:11 ID:SKErlVKU
ダクネス、カズマさんに一応振られてるのにアクア抜いたら一番早くカズマと肉体関係もちそう
11: 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/05/20(月) 10:59:25 ID:0HTgs0rM
自分の性格をしっかりと理解していてひどい所も受け入れてくれる…まぁ末永く一緒にいたくなる
12: 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/05/20(月) 11:40:35 ID:4UcciuN.
ダメ女製造機
13: 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/05/20(月) 11:42:51 ID:Zcxf5wAA
初期版めぐみんはややナイーブなとこもありましたからね
16: 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/05/21(火) 00:12:34 ID:DvitgDeQ
あれだけ他の魔法覚えろって言ってたのに、本人が辛そうな選択をするときには今までやってきたことを応援してくれる
作中一のツンデレの名は伊達じゃない
17: 名前なんか必要ねぇんだよ! :2019/05/21(火) 06:23:10 ID:fncEMHQA
カズマさんが離れていったらすごく病みそう
カズマさんが可愛いからでしょ
https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/20196/1575458642/
https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/20196/1558276740/
少し遅くなりましたが、誕生日おめでとうございます
Tweet
この異世界少女と恋愛を!?